コピーライターのなかむらです。
「わかっちゃいるけどやめられない」
っていうものありますよね。
たとえば、
・お酒を飲んだあとのラーメン ・夜更ししながらゲーム ・コーラをがぶ飲み ・ダイエット中のお菓子やケーキ ・タバコ |
などなど。
でも、呑んだ後にラーメンを食べないほうがいいことも、夜更しがよくないことも、タバコが健康を損なうことも、実はみんな知ってますよね。
つまり、「食べちゃいけないけど食べてしまう」「つい夜更ししちゃう」「健康を害するのは知ってるけど吸ってしまう」という矛盾した状態にあります。
このような矛盾した状態、またはこの時にストレスを感じている心理状態を「認知的不協和」と言います。
簡単に言うと「自分の間違いを認めたくない」という心理状態ですね。
タバコよりも体に悪い食品を探す
最近「タバコを吸うと10年も寿命が縮む」というTVCMをよく見かけますが、これはまさに喫煙者の方にとって「認知的不協和」が起こりやすいTVCMです。
「タバコを吸っている」
「でもタバコを吸うと10年も寿命が縮む」
という矛盾した考えを突きつけられることによって、まるでこれまでの自分の行動が否定されてしまうように感じます。
その結果、人は行動を起こそうとします。たとえば、、、
禁煙する
1つは「タバコを辞めよう」と禁煙する行動。
これまでの行動を改め、新しい考えを取り入れて行動している状態です。
先ほど例にあげたTVCMはこの行動を狙っています。(禁煙外来を増やす目的のCMです)
長生きしている人を探す
「タバコは体によくない」という考えを否定するために、長生きしている喫煙者を探したり、タバコよりもっと体に悪そうな食品を探して「こんなの食べてるほうがよっぽど体に悪い!」と自分の行動を正当化するための行動をします。
これまでの自分を守り、新しい考えを否定するための行動です。
実際、アメリカではこの行動を狙った会社があり、「体に悪かったとしても吸いたい」という喫煙者の心の矛盾を解消するために「タバコが肺ガンを引き起こすわけではない」というキャンペーンをして、タバコの購入を誘導していた会社もあります。
どちらが良い悪いということではなく、
「人は2つの矛盾したものを突きつけられると、どちらかを解消するために行動しやすくなる」ということです。
たとえば、
「健康になりたいならタバコを吸え」
という本がもしもあったら、気になる人は多いと思います。
これは「認知的不協和」の心理効果を使ったもので、矛盾する2つの言葉を並べることで興味を引き、本を手に取らせることを狙っています。
・ダイエットするならご飯を食べろ
・お金を稼ぎたいなら会社を辞めろ
・きれいにするなら洗剤を使うな
実際にこのタイトルの本はありませんが、これらも「認知的不協和」を使った表現で、最近ではこのような矛盾したタイトルの本が多いです。
「そんなわけがない」「どうゆうこと?」
と感じた疑問を解消するために、思わず本を手に取らせる効果があります。
コピーライティングにおいてはよく使われる手法です。
使い方を間違えると嫌われる
美容院に行ってせっかく髪型を変えたのに「前の髪型のほうが良かったのに」と言われると、”ムカッ!”としますよね。
服を買ったのに「センス悪いなー」なんて言われたら「最近こういうのが流行なんだよ?」と言い返したくなります。
ラーメンを食べに行った後に「もっと美味いラーメン屋があるのに」と言われると「でも美味しかったし」と、自分が間違っていなかったことを主張します。
これらも「認知的不協和」による行動。
人はお金を払ったものに対して不安になる傾向があります。
たとえば、服を買ったあと、
・他の人がどんな服を着ているのか気になる ・他のお店で同じ服が売っていたら安いかどうかが気になる |
という経験が1度くらいはあるかもしれませんが、人は「自分の行動が間違いではなかった」「自分の行動を否定されたくない」という意識が働いています。
それなのに自分の行動にケチをつけられると「イラッ!」ときますし、場合によっては「この人とはもう話したくない」と避けられる恐れもあります。
悪気はなくても、その人の行動や過去を否定してしまうと、相手はストレスを感じます。
人を動かすきっかけを作る効果はありますが、デリケートな心理効果なので、使う際には注意が必要です。
まとめ
・矛盾した状態は人にストレスを感じさせる
・そのストレスを解消するために人は行動しやすくなる
・ただ、使い方を誤ると嫌われる恐れがあるので注意が必要
いかがだったでしょうか。
人を行動させるきっかけ作りとして、矛盾した状態を突きつけることは効果的です。
ただ、使い方を間違えると逆効果になる恐れもあります。取り扱いには十分注意してください。
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