コピーライターのなかむらです。
何の変哲もない部屋に、高級な洋服を飾った男性がいました。
その服は知人から貰った物だったのですが、高品質でとても気に入ったため、自分の部屋に飾ることにしたのです。
しかし、彼の部屋にあるものはどれも高級とは呼べないものばかり。
服を飾ってみると周りの物が貧相に見えてしまった彼は、机や椅子、本棚などを高品質なものに買い替えていき、その結果、部屋は高級なものばかりで埋め尽くされていきました。
これはフランスの思想家、デゥニ・ディドロ男爵の実話で、人は普段よりも高品質、または高価なものを手にしたとき、高い水準に合わせたくなるという心理が働きます。
この心理効果を「ディドロ効果」といいます。
新しく家具を買うと次々と買い揃えてしまう
たとえば、部屋の雰囲気を変えようと新しく家具を買ったとします。
すると、その新しい家具に合わせようと、他の家具やカーテン、雑貨などを次々と買い揃えてしまう、というのが「ディドロ効果」です。
高級なワインを買ったものの、家にあった安物グラスではつりあわないと、新しく高級なグラスを買う。
これも「ディドロ効果」。低い水準に合わせるのではなく、高い水準に合わせようとしてしまうのですね。
全身をブランドグッズで着飾っていたり集めているのも、この心理効果が影響していると言えます。
課金ゲームは「ディドロ効果」のおかげで成り立っている?
最近は無料アプリゲームが主流になっていますが、多くの無料ゲームは課金できるシステムになっています。
無料で遊んでいる内はいいのですが、1度課金をして珍しいアイテムやキャラを手に入れると、その水準に合わせようと次々と課金してしまい、結果、数万円もつぎ込んでしまった、という方が意外と多いのが課金ゲームの怖いところ。
これはまさに「ディドロ効果」によるものです。
また、普段付き合う人を数人変えてみると、1年後には全く別の人達との付き合いが増えた、というのもこの心理効果が影響しています。
このように、「ディドロ効果」は物だけに限らず、インテリアや人脈についても影響しているわけです。
同じものを揃えるのも「ディドロ効果」
たとえばイケアなどの家具屋は、1つの部屋をそのまま再現している空間がありますよね。そこには家具やカーテン、雑貨など様々なものが置かれています。
これは、1つ1つの商品を具体的にイメージさせる効果もありますが、同じインテリアで揃えるためにセットで家具を買ってもらう、という効果もあります。
同じようにマネキンは全身をコーディネートしていますが、スカートが欲しい女性に靴や帽子やアクセサリーなど、他の商品も買わせる効果があります。
他にも、マラソンを始めた人がシューズを買ったら他のマラソングッズを買い揃えていくなど、同じものを揃えようとするのも、「ディドロ効果」によるもの。
リピーターを増やすためには知っておくべき心理学のひとつで、特にマーケティングにおいて応用されることの多い心理効果です。
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