美味しそうなスイーツの看板にはめっぽう弱い、コピーライターのkazです。
観光地を歩いていると、
ご当地スイーツなどの看板やノボリが立っていて、
気づいたら買っていた……なんてことありませんか?
反面、似たような商品を扱っているのに、
とくに買う気にならないこともありますよね。
実はその違い、
「シズルワード」の使い方
にあるかもしれませんよ。
シズルワードとは「もちもち」「濃厚」など、
美味しさを表現する言葉のことで、欲求をかき立てるのに効果的なんです。
そこで今回は、歩行者が思わず吸い寄せられてしまう、
「シズルワード」の使い方についてお伝えします。
オノマトペは共感言語
シズルワードの中でも強力なのが、「オノマトペ」です。
「オノマトペ」とは味や音、見た目、モノなどを音で表現したものです。
「わんわん」「ふわふわ」「ゴロゴロ」「イライラ」など幅広く表現でき、
『日本語オノマトペ辞典』には4500語も載っているくらいです。
それほど種類の多いオノマトペですが、
だれが読んだとしても同じような感覚を持つ言葉が多いのです。
たとえば、
「にゃーにゃー」と言われたら「猫」が思い浮かぶし、
「イライラ」していると言われたら「機嫌が悪い」と想像できます。
中でも、味覚、触覚、視覚のオノマトペでは高い共通認識性が証明されています。
「とろ~りクリーミーなプリン」
「じゅわっと肉汁&ジューシーなハンバーグ」
と言われたら、写真がなくても何となくイメージできますよね?
簡単に想像できてしまう商品ほど、人の欲望はかき立てられやすいです。
だから料理やスイーツなどを表現するには、くどくどと説明するよりも、
オノマトペで表現したほうが伝わりやすく効果的です。
もちろんオノマトペだけでは表現しきれないので、
形容詞※なども使ってシズルワードを強化していきましょう。
ではどのようにシズルワードを使えば効果的なんでしょうか。
効果的なシズルワードの使い方
シズルワードに使える言葉は本当に多いのですが、
参考に形容詞とオノマトペをいくつかあげてみます。
<形容詞>
濃厚、コク旨、スパイシー、マイルド、半熟、贅沢、香ばしい、
奇跡の口どけ、こんがり、旨み、クリーミー、風味豊かな、魔法の・・・etc
<オノマトペ>
サクサク、コリコリ、シャキシャキ、シャリシャリ、ふわっふわ、
とろ~り、しっとり、なめらか、熱々、ひんやり、ぷりっぷりの、・・・etc
効果的な使い方として「半熟とろ~り〇〇〇プリン(商品名)」というように、
「形容詞」+「オノマトペ」+「商品名」
の組み合わせで表現するとより伝わりやすいです。
しかし、
共通認識性の高いオノマトペを使ったシズルワードでも、
性別や年代別で伝わりやすさが変わってしまうのです。
そんな性別や年代ごとに調査しているBMFTという会社の調査で、
性別・年代別で効果的なシズルワードがわかりました。
これを参考にプリンを売るとしたら、
20代の女性に売りたいのなら、
「やみつきになる とろっとプリン」
30代女性に売るなら、
「クセになる ふわとろプリン」
40代女性に売るなら、
「極旨 ふんわりプリン」
という表現が効果的になるようです。
年々、効果的なシズルワードは変化していくので、
売れている商品やターゲットを観察しておくのが効果的です。
ニーズに合わせたシズルワードの探し方
どんな商品に対しても同じシズルワードが使えるわけではないところが、
「おいしさ」の奥深いところだったりします。
実際に楽天で「プリン」と検索してみると、
トップ10の中で使われていたシズルワードは、
1、濃厚(7)
2、贅沢(3)
2、なめらか(3)
4、プレミアム(2)
4、とろける(2)
4、とろ~り(2)
(その他)とろふわ、ふんわ~り、とろとろ、魔法の、特濃、うっとり、ふんわり等
どうやらプリンでは「濃厚さ」のニーズが高く、
また「とろり」とした食感が人気のようです。
ですが、「ケーキ」で検索した場合、
1、卵や小麦などの素材の産地(多数)
(その他)奇跡の、常識を超えた、独自の、新食感、サクふわ等
共通するシズルワードが出てこない反面、
「産地」や「独自性」を強調するコピーがほとんどでした。
ケーキはプリンと違い「濃厚さ」のような決まったニーズではなく、
「他にはない」ケーキが求められているようですね。
このように商品ごとに求められるニーズが違うことを確認したうえで、
ニーズに合ったシズルワードを探すことが最重要だと言えます。
ちなみに、
食べた人の感情とシズルワードが一致したとき、
同じシズルワードを使ってクチコミが広がりやすいという研究結果もあります。
シズルワードを意識することは、
爆発的な人気につながる可能性もありますよ。
まとめ
観光地でおもわず買い食いさせられる看板やノボリには、
欲求を高める工夫が多く凝らしてあります。
中でも「シズルワード」というおいしさを表現する言葉は、
多くの人が共感するオノマトペや形容詞が使われています。
シズルワードで食感などを想像させることで、
欲求を刺激しおもわず買ってしまう心理にすることができます。
性別・年代別に効果のあるシズルワードや、
商品ごとに求められるシズルワードに違いがあります。
ニーズと合うシズルワードを使って、
お客さんをどんどん吸い寄せられるコピーを作ってくださいね。
※ここでの「形容詞」は文法に出てくるものとはちがい、
「形容」<物の姿や性質などを、いろいろなことば・たとえを使って言い表すこと(google)>
という意味で使用していますのでご了承ください。