コピーライターのなかむらです。
こんな面白い実験がありました。
A:コップを渡し、いくらで売れそうか書いてもらう。
B:コップをプレゼントし、いくらで売ってもいいか書いてもらう。
つまり、
・Aは自分の所有物ではないものに金額をつける
・Bは自分の所有物に金額をつける
という違いがあります。
この結果、Bのほうが30%も高い価格を書いていました。
違いは、「所有物かどうかの違いだけ」。たったそれだけの違いなのに、30%もの価格差が生まれたのです。
これには、ある心理効果が働いています。
人は所有しているものには高い価値を感じる傾向があり、この心理効果のことを「保有効果」といいます。
所有したものは手ばなしたくない、という心理効果とも言えます。
人は得ることよりも失うことのほうが怖い
たとえば、よく迷惑メールで「お金をあげます」という詐欺メールがくることがありますよね。
そんなわけないでしょ、と笑いながらそのメールを無視する人がほとんどだと思います。
しかし、「支払いがまだ済んでおりません」という詐欺メールがくると、そんなわけないと思いながらも心配になり、ネットでその会社を検索したりします。
「もらう」ことに対しては恐怖を感じませんが、「とられる」ことに対しては恐怖を感じるわけです。
だからこそ、1度所有したものを手放すことには抵抗を感じ、価値を高めてしまう心理効果が生まれます。
返金保証は「保有効果」を応用したもの
海外の通販番組でよく見るのが「返金保証」。
最近では日本の通販番組でもこの制度を取り入れている商品が増えてきましたが、これは「信頼を得る」という効果を期待している一方、「1度所有したものは手放しにくい」という保有効果への期待もあります。
つまり、「1度所有してもらうことに意味がある」と考えているわけです。
「お試しできます」「無料で貸し出し中」「試着できます」
これらもすべて「保有効果」を狙ったものです。1度手にすることで、手放したくない気持ちが生まれ、購入につながるために、このようなサービスは効果があります。
おめでとうございます!当選しました!
たまにこんなハガキやFAX,メールが届くことがあります。
これも「保有効果」を狙ったもので、「当たった=自分のもの」なので、無視できなくなります。無視すると、自分のものになるはずのものを失うかもしれないからです。
「当選したのでとりに来てください」
「○月○日までに連絡いただければ差し上げます」
という1文にひかれ、連絡をする、来店をしてしまう。
「保有効果」にはこのような集客効果もあります。
まとめ
・人は所有しているものには高い価値を感じる傾向がある
・そのため、お客さんに1度所有してもらうことは重要
・「保有効果」には使い方次第で集客効果もある
いかがでしたでしょうか。
購入率をあげる効果や集客効果など、マーケティングにおいてもよく使われる心理効果のひとつです。
ぜひお使いになってみてください。
さらに心理学についての知識を深めたい方は、下の記事おすすめです。
【これだけは知っておきたい!】コピーライティングと相性抜群の心理学まとめ