コピーライターのなかむらです。
「こんにちは!」と元気よく挨拶されたら、たとえその人が知らない人でも「こ、こんにちは」と返しちゃうことありますよね。
「ありがとうございました」と頭を下げれば「いえいえこちらこそ、ありがとうございました」と相手も頭を下げます。
喧嘩をした友人に「この前はごめんね」と謝れば「私こそ、ごめん」と相手も謝ってくれます。
このように、何かを与えられると「返さないといけない」という心理効果が働くことを「返報性の原理」と言います。(返報性の法則と言われることもあります)
FacebookやTwitterでメッセージやコメントをもらうと、「返さなきゃ」と考えますし、「いいね!」を押してもらえると相手の投稿にも「いいね!」を押してあげようかな、という心理が働きます。これも返報性の原理です。
返報性の原理で2倍の効果
心理学者のデニス・リーガン博士がある実験をしました。
2人1組の実験で、1人が飲み物を買いに行った時に
A:自分の飲み物だけ買ってくる
B:相手の分の飲み物も買ってくるその後に「福引のチケットを買ってもらえないか?」とお願いをする
という実験です。
この結果、Bの「飲み物を買ってもらった人」のほうが、Aに比べてチケットの購入率が2倍も高かった、という実験結果に。
「返報性の原理」によって、人の行動は大きく変わることがわかります。
また、何かを与えられると相手に対して好感をもつ、という効果もあり、恋愛においても返報性の原理は使われます。
相手に好意を示すと相手もこちらに返そうとしてくれる心理が働き、これを「好意の返報性」と言います。
返報性の原理はビジネスの基本
「返報性の原理」はコピーライティングだけに限らず、マーケティング戦略としても使われています。
身近なビジネスモデルだと、デパ地下での試飲や試食。
試食をすると「買わないと悪いな」と思ったり「このまま立ち去りにくいな」と考えたりしますよね。そういった心理が働き、購入につながる。
また、この試食や試飲は”人がいるかいないか”でも購入率が変わることがわかっています。
人がいない試食コーナーだと実はそれほど購入率は変わらず、人がいる時に試食をすると購入率があがる。
つまり、
試食コーナーや試飲コーナーがある=購入率があがる
ではなく、「人から提供されるかどうか」が重要だというわけですね。
試着も同じ。試着室で服を着ていると「サイズはどうですか?」などと店員さんから声をかけられますよね。その後に「やっぱりこの服やめておきます」とか「また来ます」とかなかなか言いにくいものです。
これも返報性の原理が与える心理効果です。
「試す」ものと「無料」のものが有効
年賀状でもプレゼントでもお歳暮でも、”もらったら返す”という習慣を持つ日本人にとっては「返報性の原理」がもたらす心理効果は大きく、ビジネスでよく使われているのが「お試し」と「無料」です。
まずは先に相手に与える。それが将来的な売上として返ってくる、という長期的に考えた戦略です。事実、このようなビジネスモデルの成功例は増え続けています。
コピーライティングにおいても、文章のゴールを「お試し」や「無料」にすることもあります。
1つの文章で「売る」ことを目的とせず、「与える」ことを目的とした文章にする。人の行動心理を理解していれば、何も始めから売る必要はないのです。
まとめ
・人は何かを与えられると「返さないといけない」という心理効果が働く
・「返報性の原理」によって、人の行動は大きく変わる
・最初から売ろうとせずに「お試し」や「無料」で先に相手に与えることも戦略のひとつ
「返報性の原理」を応用することはどのビジネスにおいてもかなり有効です。
コピーライティングに限らず、現在のビジネスに取りいれてみてはいかがでしょうか。
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