ジブリ キャッチコピーをコピーライターが独自に解説


道

コピーライターのひらいです。

日本でほとんどの人が知っている「スタジオジブリ」。

それぞれに心に残る作品があり、
ジブリの作品を見て大きくなったといっても
過言ではありません。

話題に困った時に「好きなジブリ映画は何?」
とふれば、30分は時間がもつことでしょう。

さて、今回はジブリの作品批評ではなく、
キャッチコピーを解説するという企画です。

当たり前の話なのですが、映画も”作り手”がいるわけで、
何かしらのメッセージ性が隠されています。

それをひとことで表現したものがキャッチコピーなのです。


ジブリの代表作を例に挙げながら、キャッチコピーを解説します。


「このへんないきものはまだ日本にいるのです。たぶん。」

これは『となりのトトロ』のキャッチコピーです。

『となりのトトロ』はジブリが発表した作品の3作目で、公開は1988年です。

この頃といえばバブルがちょうどはじけたあたりでした。
世間が騒然となっているなか、ファンタジー要素の強い作品で、
「ちょっと肩の力を抜こうよ」といったメッセージを読み取ることができます。

それまでの2作は『風の谷のナウシカ』、『天空の城ラピュタ』ですので、
伝えたいメッセージが変わった印象を受けます。


「4歳と14歳で生きようと思った」

数あるジブリ作品の中でも1番強烈なキャッチコピーだと思います。

『火垂るの墓』は戦争の悲惨さや2度と同じことを繰り返さない
といったメッセージが込められているでしょう。

さらに、この作品も1988年に公開されています。

前回の『となりのトトロ』とは異なって、
「強く生きよう」というメッセージも受け取った気がします。
4歳と14歳でも強く生き抜こうとしているのだから、
大人も頑張ろうという意味があったのではないでしょうか。

悲しさの奥に希望を持つことの大切さが隠されているように思えてなりません。


「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」

好きな作品の1位としてもたびたび挙がる『魔女の宅急便』のキャッチコピーです。
この作品は1989年に公開されました。

『火垂るの墓』では強烈なインパクトを残しましたが、
このキャッチコピーは人を前向きにさせるものです。

今までの2つとは違い、共感を呼ぶようなものになっています。

コピーライティングは「一人に届けると思って書く」
ということが基本とされています。
このキャッチコピーはその基本にのっとったものといえるでしょう。

ほとんどの人は落ち込んだことがあると思いますし、
前向きになりたいと思っているはずです。

キャッチコピーで共感を呼ぶことができれば、人は作品を見たくなるでしょう。

気になってキャッチコピーを作った人を調べてみると、糸井重里さんでした。
こういった多くの人に刺さるキャッチコピーをつくるのはさすがだと思います。


「カッコイイとは、こういうことさ。」

バブル崩壊から数年がたった1992年に公開された『紅の豚』。

ただ、「頑張ろう」「前を向こう」ではなく、
具体的な指針をしめしたキャッチコピーになっています。

混沌とした時代から抜け出すためには
「夢を追い求める男の生き様が必要だ」という
メッセージが込められていると思いました。

女性よりは男性に響くキャッチコピーであり、
キャッチコピーが狙った層にうまく刺さっている例でしょう。


「生きろ。」

もしかすると、ジブリの中で最も有名なキャッチコピーかもしれないこちら。

『もののけ姫』のキャッチコピーなのですが、
メッセージをストレートに表現しています。

このコピーについては、すべての人に刺さるものであり、
解釈も相当数あることでしょう。

端的に「命を大切にする」と捉えることもできますし、
自然に対して呼びかけているともとたえることもできます。

一人一人に響くメッセージでありながらも多くの人に届かせる、好例でしょう。


まとめ

今回はジブリのキャッチコピーに焦点をあてて、
どういった意味があるのかを解説してみました。

ジブリのキャッチコピーは主にCMやポスターに使われるため、
大多数の人の目に触れます。

そのため、ターゲットを絞りながらも、
様々なタイプの人に刺さるようなキャッチコピーになっているでしょう。

しかし、一人一人の心に訴えかけるという基本を忘れてはいけません。

「みんな」に届けようと思うと、誰にも届きません。

あなたの文章は誰にどんな感情を抱いて欲しいのか。
それを一言で表したものがキャッチコピーです。


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