コピーライターのひらいです。
最近は初対面の方とお会いする機会が多いのですが、「キャッチコピーをさらっと書くなんてすごいですよね!」「才能があっていいですねー」とよく言われることがあります。
ですが、コピーライターはひらめきでペンを走らせて作っているわけではなく、さまざまな思考のプロセスを経てつくっています。
そのため才能やセンスというものはさほど必要ではなく、考え方さえ身に付けることができれば誰でもコピーを作ることは可能です。 今回は初心者でもできる人の心に響くコピーを作る考え方をお伝えします。
売れるキャッチコピーを生み出す3つのステップ
1:散らかす
コピーを「書く」という作業は、3つに分解することができます。まず最初のステップは「散らかす」です。
コピーを書こうとしている商品、会社、お客様など、さまざまな角度や視点から情報を集める作業です。初めの段階では書こうと思っている対象についてありとあらゆる角度から”書き散らかして”いきます。 書き散らかす数の目安としては100個。もちろん、ブログの記事タイトルで100個も考える必要はありませんが、ご自身や商品のキャッチコピーを考えるときは100個くらい考えるべきでしょう。
こんなことを言うと「結局、精神論なんですね」と思われるかもしれませんが、ちゃんとした理由があります。
例えば、恋人を探すときに「自分のクラスから」しか選べないのと、「全校生徒から見つけられる」場合では素敵な人を見つけられる確率が全く違いますよね。ちょっとしかないものから選ぶよりもたくさんある中から選ぶ方が良いコピーが生まれる可能性は大きいです。
2:選ぶ
2番目のステップは「選ぶ」です。ステップ1で書き散らかした中から「読み手の心に刺さりそうだな」「見た人にとって意味のあるものだな」という視点で選び出す作業です。 ここで大切なことは「自分はこのコピーが好きだ!」ではなく、相手の目線に立つことです。
私はコピーライティングの学校に通っていたことがあります。それぞれが考えたコピーを教室内の壁に貼り出して、心が動いたものに得点を入れるという講義がありました。 選ぶスピードはそれぞれなんですが、30分経っても選べない人がいます。これは自分の視点しか持っていない証拠です。
コピーは時間をかけて見られるものではありません。見る人はコピーを比べようなんて全く思っていないはずです。本来であれば、パッと見て判断するべきなのです。自分のお気に入りではなく、見た人の視点を忘れないようにしてください。
3:磨く
3番目のステップは「磨く」です。ステップ2で選んだコピーを見た人の印象に残るように、言い回しや表現を変えていきます。初心者の方はコピーライターの仕事を「磨く」だけだと勘違いをしているかもしれません。 そして、世の中に出ている本や教材ではこの「磨く」ことだけを教えているものもあります。確かにコピーを考えるうえで、最も魅力的な部分ですから惹かれてしまう気持ちもわかります。
しかし、どれだけ表面を磨いたとしても「人を動かす、心を動かす」コピーにはなりません。「磨く」だけにとらわれてしまうと、「何を目的としたコピーなのか」がわからなくなるからです。 「散らかす」「選ぶ」というステップを経ることで、コピーが強くなっていきます。
どれだけカッコ良いかではなく、どれだけ人の気持ちが動くかを意識しなければならないのです。
まとめ
コピーを考えるプロセスは「散らかす→選ぶ→磨く」です。
大切なことなので何度もいいますが、すべての土台となる「散らかす」ことが最も大切です。ここをサボってしまうと、「選ぶ」「磨く」能力も身につきません。
100個も考えるというと「あぁ〜私には無理だ・・・」と思われるかもしれませんが大丈夫です。毎回100個出さないといけないのではありません。繰り返し経験を積んでいくと、頭の中で散らかしながら「これはアリ」「これはナシ」と、「選ぶ」ことができるようになってきます。そうなれば、そこまでの本数を書かなくても優れたコピーが作れるようになります。
ただし、それはあくまでもトップレベルの人の話です。初心者の方やこれから学ぼうと思う方は「散らかす」作業を抜かさないようにしましょう。
このステップを教えてくださった谷山雅計さんは日本トップクラスのコピーライターですが、いまだに「50本は書く」とおっしゃっていました。だからこそ、資生堂TSUBAKI「日本の女性は美しい」、新潮文庫「Yonda?」などのコピーを生み出せているのでしょう。本当の実力は日々の積み重ねでしか身につきません。
うわべだけのテクニックではなく、いつどんな時でも使えるようにトレーニングをしていきましょう。